柏エシディシ

サマー・ストックの柏エシディシのレビュー・感想・評価

サマー・ストック(1950年製作の映画)
4.0
ジュディ・ガーランド生誕100周年「永遠のジュディ」にて。
女手ひとつで農園を切り盛りするジュディの元に、女優志望の妹とその恋人(ジーン・ケリー)の劇団が臨時公演の為に転がり込んでくる。人手不足の農園の手伝いをする事を条件に受け入れるジュディだが、保守的な地域住民や婚約者と軋轢も深まっていくことになり、公演の前途にも暗雲が立ち込めていく…
ジュディとケリー3回目の、そして最後の共演。精神的にも肉体的にも限界に達し本作をもってMGMを解雇されるジュディと、この後「巴里のアメリカ人」「雨に唄えば」など絶頂期を迎えるジーン・ケリーの邂逅。そう考えるだけで複雑な想いが交錯するが、舞台の魅力をケリーがジュディに語るシーンには更に熱いものが込み上げる。「愛を語るより歌うんだよ」「なぜ歌うの?」「…わからないよ…でもその方が良いだろ?」泣
その後、新聞紙を使った一人きりで舞うケリーのタップダンスの味わいも、また良い。
前述のジュディの状態を踏まえて鑑賞すると婚約者との葛藤や舞台や歌に対する純粋な愛情を考えさせられる描写が特に際立ってくる。
その後の顛末を敢えて語らず、ミュージカルの多幸感で絶頂を迎えて終幕を迎えるが逆にその眩さの裏面の影の濃さを逆に今は思わせる。
ジュディのキャリアの「最後の夏」。そんなことを考えてしまう秀作。
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