菩薩

お家に帰りたいの菩薩のレビュー・感想・評価

お家に帰りたい(1989年製作の映画)
4.4
世間は何やらゴールデンだウィークだ10だ連休だと世迷言を前にふわりふわりと浮ついている様だが、当然俺の目の前にはただのノーマルなデイズが続いているだけであり、明日だって6時半に起きて仕事に行かにゃならんから、俺だってさっさとお家に帰りたい。でも今日観たこの映画は銀河系で一番面白いと思うし、きっとこれが俺らがみたいあゔぇんじゃーずだと思うから、俺は今非常に満足している。アラン・レネが描く異文化コミュニケーションのススメ、及び父と娘の和解に見るアメリカとフランスの文化的融和、終盤主人公のおっさんがポロリと「何がなんだか分からない!」と漏らすが、はっきり言ってそれはこっちの台詞である。今でこそ確固たる芸術として市民権を得た「漫画」文化に対するレネの感謝の正拳突き、そんな姿勢に当時の観客はネテロが置き去りにした音以上に置き去りにされたであろうが、低俗か高尚か、文化の世紀末覇者はアメリカかフランスかとか別にいーじゃん仲良くやろうぜの思想には素直に感動した。映画を愛する者は美術を愛し、漫画を愛し、音楽を愛し、文学を愛し…と、芸術は芸術としてひと繋ぎの至宝として社会に浸透している。要するにラブである、これまでの全てにラブである。どこまでもコミュニケーション不全であるが、当然ハネケなんかとは正反対の描き方、初期のシリアス・レネからすると「ちょっと病院行こうか?」レベルでどうかしちゃっているが、このわちゃわちゃとしたコント感は非常に良い、流石に満点を付けるほどでは無いが銀河系で一番面白い、なんせこの作品にはポパイもバットマンもスパイダーマンも出てくるからな…。
菩薩

菩薩