horahuki

ウィッチングのhorahukiのレビュー・感想・評価

ウィッチング(1972年製作の映画)
3.0
神 vs 神

『戦慄!プルトニウム人間』『巨大生物の島』等、何でも巨大化させることで有名なBIG監督によるオカルトホラー。今回はデカくするものがないためか、映画界の“巨人”オーソンウェルズが主演。結果的にBIG映画になっている(ウェルズのお腹周り的にも)という、トンチを効かせた遊び心が笑える先月レンタル開始のWHD案件。

巨大モンスター大好きなBIG監督も60年代以降のオカルトホラーブームに流されたのか、『ローズマリーの赤ちゃん』に影響を受けたのであろう本作は、当然(ウェルズを除いて)巨大モンスターなど出てこず、キバを抜かれた虎の如くコレという魅力に欠けた映画になっちゃってるのが悲しい…😭

それもそのはずで、BIG監督のオリジナルから大幅な再撮影と再編集によりズタボロにされたのが本作らしい。主人公とその場の空気感の奇妙なズレや、モンタージュの限界を超えているレベルの、繋がりが不明瞭な不自然すぎる編集の連続は恐らくそのためで、大味ながらもキッチリと見せてくれるBIG監督らしさは全く感じなかった。

流産した主人公(パメラフランクリン)は、再就職する夫と共にリリスという街にやってくる。そこにはウェルズ率いる悪魔崇拝者たちしか住んでいなかった…。夫は順調に仕事をしているし、周囲も優しく接してくれる。表面上は穏やかながらも、次第に違和感を覚えた主人公は脱出を試みるが…っていう流れ。

街には子どもはいないと言いながらも、ブランコを漕いでいる男の子を目撃したり、住民の言葉がコロコロと変わる。そこには主人公を招き寄せた大きな目的があり、後の『ウィッカーマン』を思わせる主観的な善・悪の宗教対立構造が見えてくる。

自身を神だと自称するウェルズを恐れるがあまり街は支配されており、その「神」を引きずり下ろそうと主人公サイドの「神」が真っ向勝負を繰り広げるクライマックスは、映画界におけるBIG監督の挑戦状のようにも見受けられ、更にはその結末的にもBIG監督の自虐的な遊び心とウェルズへのリスペクトが窺えるので、そういったところは面白かった。これも超好意的に解釈すれば…だけど!🤣
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