とらキチ

ジェシー・ジェームズの暗殺のとらキチのレビュー・感想・評価

4.0
ビリー・ザ・キッドと並び、幾度となく映画作品等の題材となってきたアメリカ西部開拓時代のガンマン、アウトローであるジェシー・ジェームズ。彼と、彼を裏切り暗殺した手下のロバート・フォードの人物像に迫ったサスペンス・ドラマ。
カリスマ性に溢れたジェシーに魅せられ、憧れて仲間となるロバート。その憧憬する様子を見ているとホモソーシャルを越えたホモセクシャルな関係性を感じる。そんな彼ら強盗団も、犯罪を繰り返し、常に追われる立場となっていくうちに仲間内同士での疑心暗鬼の闇が満ちてくる。裏切られる者の神経が擦り切れていく様子と、裏切りに向かって行く者の葛藤と苦悩、これらがぶつかり合うピリピリとした心理戦。観ていてハラハラドキドキ疲れるけど、それほど長さを感じさせない。そしてブラピ、ケイシー、サム・ロックウェル三者三様のお芝居にどっぷりと引き込まれる。
そしてジェシー暗殺後の後日談。ジェシーの遺体そのものは見世物として利用し尽くされ、ロバートは当初“ジェシーを殺したボブ”として持て囃されるが、後には“裏切り者”“卑怯者”として“ジェシーを殺した男”としか認識されなくなってしまい、最後には殺されてしまう。結局は自己顕示欲を満たしてくれる存在、場を常に求めていたのかなぁ…と思わされるロバートの生き様を見ていると虚しさしか残らなかった。
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