エアール

美しい妹のエアールのレビュー・感想・評価

美しい妹(2001年製作の映画)
3.0
本作で登場する性格が対照的な双子の姉妹
ーー姉のマリーは
地味で無愛想、知的で理屈っぽいのに対し
妹のリュシーは
愛想が良く感情的。男ウケのいい派手さを好む。


女優志望のリュシーは
田舎町からパリへと飛び出す。
コネなどもちろんないし、何も当てがない彼女は男から男へ渡り歩く日々を送りながら人脈を作っていく。

とある春
歌手デビューするのチャンスを掴むリュシー、
パリで出会って以来友人でもあるニコラの力も借りてデモテープを作ろうとするも
肝心なことに彼女自身は歌を歌えない
ーーそこで考えたのが
声の録音と歌詞については姉のマリーを替え玉にすることであった。

金が欲しいマリーは
渋々引き受けるもその歌への反応が良くて
即座にライブ出演が決まる。
もちろんステージに立つのはリュシーではなくマリーである
ーー自身のライブへと出かける姉とニコラを自室から見送る妹、
これが顔を合わせる最後になろうとは…

コンサートを無事に終えて
家に帰ってきたマリーとニコラは
リュシーが飛び降り自殺を図ったことを知る
ーー警察に事情を聞かれたマリーは咄嗟に
”リュシー・ロランです。
ここの住人で、死んだのは姉のマリーです。”と答えてしまう。


こうして美しい妹になりきることを選んだ姉、
姉には見せられない妹の知られざる一面、
社交界やら付き合いやら、ファッション、ドラッグ、セックス、…
次第に自分が自分でなくなり
ただ金儲けのために偽りの自分を演じ続けていくことに心身共に疲弊していくが
そんな彼女にカリスマ性や魅力を感じる、熱狂的なファンは増え続けていく…


マリオン・コティヤールが1人2役に挑んだ本作、
変わり者の父親と哀れな過去、
姉妹における確執、
自分を愛してくれる大切な人の存在、
増していく空虚感と孤独、
その時その時の選択が
あとあと自分の首を締め付けていく…
手遅れとなってしまうのも時間の問題であると、
春夏秋冬を経ていよいよその時が迫り
いったい彼女は何を思い、どういった決断を下すのか…


マリオンの芝居は素晴らしいんですけど
だからこそ勿体ない感が否めませんね〜。
兄弟、姉妹、と関わり方や関係性はいろいろですな〜
エアール

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