Shintaro

CUTのShintaroのレビュー・感想・評価

CUT(2011年製作の映画)
3.8
何その商売⁉︎

西島さんが映画狂人として暴れまくります…といか一方的にボコボコにされます。かなりズタボロにされるので西島ファン(特に女性)は辛いかも。まぁそれも込みで興奮する事も出来ると思いますが。

西島秀俊が映画好き過ぎオタクなのはいいんですが、あの顔面からしてオタク臭は皆無。
選んでる映画も有名クラシックばかりなのでどうも拗らせ男子程度にしか写らない。
でも重要なのは映画好きとかではなく、彼の狂人性。彼が本当は何を欲しているのか?考える暇など与えずひたすら借金返済の為に殴られ続けます。
常盤貴子や笹野高史がとてもいい。あと何と言っても菅田俊アニキ。
殺し屋1で見せたアドリブ演技に魅了され大好きになった俳優さんです。声のトーンだけで人を殺せそうです。ただ今回は優しい人情のある親分役でした。

黒澤や溝口などのお墓をダッシュで参りに行き、”先生…先生ならどうしますか?”と問う西島さん。あのシーンは少しグッとくる。どちらも僕も大好きな監督なので。

話は面白いんですが、どうもイマイチなのが、映画愛(ただの材料ならいいのですが)を語る割には、殴られ屋として場面を描く時と映画狂人として描く時のバランスが悪く、あまり関連性がないように思えてならない。あくまで借金返すための殴られ業務なだけでその間は映画については 取って付けたようなセリフのみで語られる。
彼が映画をどのように愛し蝕まれているのかわかりづらい。一方的過ぎる愛を一方的に描き過ぎてる。ていうか西島さんな時点で”こいつは秘宝は読んでねーだろ”なのでしょぼい思想家に見える。

絵としてはキマってますが、リアリティはそこにありません。
故に柳下毅一郎氏が”シュウルレアリズム映画”と評したんだろうか。
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