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故郷のりのレビュー・感想・評価

故郷(1972年製作の映画)
4.0
地方の人間が敢えて都会を目指しているのではなくて、出て行かざるを得ない現実があったということを初めて知る。国全体の生産力が向上し豊かになることと、人々のごく個人的な豊かさとは、必ずしも比例して拡大していくわけではないのだ。時代の流れという巨大な波に抗えない自分の情けなさ。それでも人間は社会の中で生きているのだから、前へ進むしかない。
民子たちの石舟から海へこぼれ落ちる石の作る波も、重機を操縦する大変さも、あの人工的な巨大要塞・石舟を前にしてしまうとなんだかちっぽけで悲しかった。
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