アラサーちゃん

悲しみよこんにちはのアラサーちゃんのレビュー・感想・評価

悲しみよこんにちは(1957年製作の映画)
3.0
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〖悲しみよ こんにちは〗
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有名なタイトルのこの作品。
当時18歳であったフランスの女流作家サガンの処女作であり、詩人エリュアールの詩の一節を引用している。

17歳のセシルが、バカンスで訪れた南仏でのひと夏の出来事を描く。

17歳ってふしぎな年齢です、見た目も、自分でも、大人になっていると思うのに心は全く大人になれていない。あとから思い返して、なんてバカだったんだろうって喚きたくなるような、とても暗黒歴史の詰まった年齢だと思いませんか。
え、私だけですか。

シャルロット・ゲンズブールの退廃的な魅力が目覚ましい「小さな泥棒」もそうでしたし、アンジェリーナ・ジョリーが演じた「17歳のカルテ」やだいすきなオゾンの「17歳」
どれだけすてきな作品の題材になってきたことだろう。

とにかく17歳って、それだけで素晴らしい魅力を孕んでいる気がするんです、危うげで、性の目覚めであって。

ついつい危険なことに惹かれてしまう、後先を考えずに。
これをできる年齢は、危険を知らないこれより前も、保守的になってしまうこれよりあとも、きっとできない。この歳だけ。
そのなかのひと夏を切り取るのはすごく美しいんじゃないかとおもうのです。

たとえば「いいこと思いついた」の「いいこと」が紙一重に「悪いこと」だったりする。でもその悪戯心が小さな子どもよりよほど残酷なのは、経験と計算がそこにあるから。

ヒロインを演じるジーン・セバーグ、「勝手にしやがれ」のイメージでフランスの女優さんに見えてしまうのですが、生粋のアメリカ人。
すんごくかわいい。大人っぽさと幼さが同居していて、快活でありながら品のある顔立ちとスタイル。この映画での「セシルカット」が流行して、このファッションもどれも可愛かった(水着以外)
最終的には悲しい人生を送る人だけど、この時はそんなことつゆにも思わなかったのだろうな…かわいい。

プレミンジャー作品でわたしは好きだろうなとおもって鑑賞したけど、案外あいませんでした。

南フランスの美しい景色
当時珍しいんじゃないかな?という回想劇
原作ありきな文学感
現代をモノクロに、回想をカラーで見せる手法(結末を知れば意味が分かる)

どれもこれもにやけてしまうくらい好きなんだけども。
なんでだろう なんだか納得のいかない作品でした。
いちばんテンション高まったのは、オープニングクレジットのソール・バスでした。