千年女優

なんだかおかしな物語/ボクの人生を変えた5日間の千年女優のレビュー・感想・評価

3.5
名門校の勉学のプレッシャーに加えて意中のニアが親友と交際を始めたこともあって自殺願望を抱くようになった男子高校生クレイグ・ギルナー。うつ病を心配して自ら病院に赴いて精神病棟へと入院した彼が、入退院を繰り返すベテランのボビーや自傷癖のある少女クレイグら個性的な患者との交流を経て変化する様を描いた青春ドラマです。

小説家のネッド・ヴィジーニが自らの体験にインスピレーションを得て書き上げたヤングアダルト小説を、後に『キャプテン・マーベル』を監督したアンナ・ボーデンとライアン・フレックのデュオで映画化した作品で、ヴィジーニ自身は公開後の2013年に残念ながら自殺を遂げましたが、前向きなメッセージを多くの作品を通して遺しました。

実体験を基にしているとあって劇的な展開やコメディとしての爆発的な瞬間があるわけではないですが、決して浮世離れしない実在感ある人物が織り成すユーモアのある掛け合いでほのぼのとした気持ちにさせてくれます。「違い」がそのまま「序列」となる競争社会の掟を外れることで「個性」と捉えられる成長を描いた、前向きな一作です。
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