ゆっきー

マイクス・マーダーのゆっきーのレビュー・感想・評価

マイクス・マーダー(1984年製作の映画)
4.0
傑作。
デブラ・ウィンガーが忽然と消えた好きな男(マイク)の足跡を辿っていく話。
マイクは死んだ、との話なのだが、殺されるシーンも死体も一切映らないので、どこかアントニオー二の映画のような雰囲気がある。写真やビデオといったアイテムもどこか不気味。
足跡を追っていく間、彼女のセリフは極少で、何故か彼女を迎えた男たちは初めて会う彼女に対して一方的に饒舌にマイクとの思い出を語っていく。この不条理感がたまらない。

通常の映画なら作者によって「見せしめ」として死という形で早々に退場させられるであろう頭を使わないチンピラが、本作では最後まで場をかき乱すのがこれまた独特。

そのどチンピラがデブラの家に押しかけるクライマックスでの室内の月夜の明かりが見事。カーテンで光がゆらゆら揺らいでいる。撮影監督はレイナルド・ヴィラロボスという方。
不勉強ながら初めて知りました…
そういえば、このシーンで唐突に地震が発生するのもよく意味がわからなくて好きだ。

ラストシーンでのBGM、不安を煽るような効果音だが、デブラ・ウィンガーとマイクの出会いを表す「ド」の音階である。彼女が彼との思い出を確かめるようにピアノを弾くと「ド」でBGMとピアノの音が重なる。
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