ボサノヴァ

ショーン・オブ・ザ・デッドのボサノヴァのレビュー・感想・評価

4.0
ロメロのゾンビ世界をイギリス社会で表現するとこうなる、なパロディ。ゾンビの生態を、自国の勤労問題に絡めてくるセンスが光り、後発の類似作品と並べても完成度が抜きん出ている。ロンドンっ子のゾンビは、勿論、ショッピング・モールではなくパブへ向かうのだ。

個人的には笑えるというより泣ける映画で、不器用で自堕落なショーンが社会と折り合いをつけて生きている様に感情移入してしまう。彼のナードな日常を執拗に描くことで、パンデミック後の成長(というか、潜在能力の覚醒)を際立たせ、人間はゾンビじゃないんだ、立ち上がれ、という熱いメッセージが迸る。

逆に「笑い」の部分は、スローモーな動きのゾンビをネタにされることにDVD発売当時すごく抵抗があって、なかなか食指が動かなかったことを思い出す。観たのは、けっこう後になってからだった。我ながら、健気なゾンビ愛。
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