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三大怪獣 地球最大の決戦のKUBOのレビュー・感想・評価

三大怪獣 地球最大の決戦(1964年製作の映画)
5.0
これは思い出深い映画なんだよな〜。

実は公開当時幼稚園児だった私は、亡き母に連れられて渋谷東宝へ見に行ったんだけど、母曰く「お前はキングギドラが出てきたら『怖い〜!』って泣いて帰ってきちゃったんだよ」と。

もちろん、その後、何度か見てるんだけど、4Kリマスター版で久しぶりの鑑賞です。

ゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラ。このラインナップでお分かりのように、これ『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の元ネタです。(ま、CGとアナログ特撮じゃあ雲泥の差がありますが)

久しぶりに見て感心するのは、やはり本編がしっかりしてること。

「UFO」「予言」「異常気象」。さらに、当時猛威を奮っていた「日本脳炎」、出来たばかりの「黒部ダム」など、当時、社会の話題になっていたネタをてんこ盛り。

だいたい王女の護衛とか、怪獣映画の『ローマの休日』じゃあないですかw

まだ109なんて影も形もない頃の渋谷のハチ公前とか、松坂屋のアドバルーンが上がっている昔の上野の西郷さんの銅像前とか、時代を記録するという意味でもおもしろい。

特に、テレビの公開番組の収録を見に来ているおばさんたちの服装が、ほぼ和服。私の母もこの頃は普段着として和服を着ていたのを覚えているが、この時代、まだ女性の半数は日常的に和服を着ていたんだなぁ。

しっかりした本編で引っ張って、後半はもちろん怪獣たちの大決戦となるのだが、悪役だった『モスゴジ』、宿命の闘いだった『キンゴジ』ときて、ゴジラが「悪い怪獣をやっつけてくれる人間の味方」的な立ち位置になったのは本作が初めてだろう。

それもこれも、キングギドラの美しくも圧倒的な悪役感のなせる技。(この後、50年以上も最強の悪役の地位を譲らないしね)

当時のアナログ特撮の三つ首怪獣キングギドラの操演の見事さ!

また、「本格的怪獣プロレス」が始まったのも本作からだろう。それまで重厚でスローモーションの多かった怪獣の動きがずいぶん軽妙になった。

また、ゴジラとラドンが岩石でバレーボールまがいのことをやってるのは、本作公開年に開催された昭和39年の東京オリンピックの影響だろう。

この後も、ゴジラが「シェー!」をしたり、公害があれば「ヘドラ」、沖縄が返還されれば「キングシーサー」と、ゴジラ映画は寅さん同様、その時代その時代の話題を敏感に作品に取り上げていく。

「さようなら、皆さん。私たちはインファント島に帰ります」と双子の小人とモスラ。見送るゴジラとラドン。??? え?普通にゴジラとラドンいるんだけど、この後、日本はどうなる?w

無責任なラストシーンだwww

それでも私の初のリアルタイム・ゴジラは、思い出フィルター付きで☆5つでお願いします。



*【本作の脇役たち】

佐原健二、『ウルトラQ』の万城目淳

黒部進、『ウルトラマン』のハヤタ隊員

古谷敏、『ウルトラマン』のスーツアクター

天本英世、『仮面ライダー』の死神博士

特撮ドラマのヒーロー、ヴィラン、大集合や〜!
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