これは思い出深い映画なんだよな〜。
実は公開当時幼稚園児だった私は、亡き母に連れられて渋谷東宝へ見に行ったんだけど、母曰く「お前はキングギドラが出てきたら『怖い〜!』って泣いて帰ってきちゃったんだよ」と。
もちろん、その後、何度か見てるんだけど、4Kリマスター版で久しぶりの鑑賞です。
ゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラ。このラインナップでお分かりのように、これ『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の元ネタです。(ま、CGとアナログ特撮じゃあ雲泥の差がありますが)
久しぶりに見て感心するのは、やはり本編がしっかりしてること。
「UFO」「予言」「異常気象」。さらに、当時猛威を奮っていた「日本脳炎」、出来たばかりの「黒部ダム」など、当時、社会の話題になっていたネタをてんこ盛り。
だいたい王女の護衛とか、怪獣映画の『ローマの休日』じゃあないですかw
まだ109なんて影も形もない頃の渋谷のハチ公前とか、松坂屋のアドバルーンが上がっている昔の上野の西郷さんの銅像前とか、時代を記録するという意味でもおもしろい。
特に、テレビの公開番組の収録を見に来ているおばさんたちの服装が、ほぼ和服。私の母もこの頃は普段着として和服を着ていたのを覚えているが、この時代、まだ女性の半数は日常的に和服を着ていたんだなぁ。
しっかりした本編で引っ張って、後半はもちろん怪獣たちの大決戦となるのだが、悪役だった『モスゴジ』、宿命の闘いだった『キンゴジ』ときて、ゴジラが「悪い怪獣をやっつけてくれる人間の味方」的な立ち位置になったのは本作が初めてだろう。
それもこれも、キングギドラの美しくも圧倒的な悪役感のなせる技。(この後、50年以上も最強の悪役の地位を譲らないしね)
当時のアナログ特撮の三つ首怪獣キングギドラの操演の見事さ!
また、「本格的怪獣プロレス」が始まったのも本作からだろう。それまで重厚でスローモーションの多かった怪獣の動きがずいぶん軽妙になった。
また、ゴジラとラドンが岩石でバレーボールまがいのことをやってるのは、本作公開年に開催された昭和39年の東京オリンピックの影響だろう。
この後も、ゴジラが「シェー!」をしたり、公害があれば「ヘドラ」、沖縄が返還されれば「キングシーサー」と、ゴジラ映画は寅さん同様、その時代その時代の話題を敏感に作品に取り上げていく。
「さようなら、皆さん。私たちはインファント島に帰ります」と双子の小人とモスラ。見送るゴジラとラドン。??? え?普通にゴジラとラドンいるんだけど、この後、日本はどうなる?w
無責任なラストシーンだwww
それでも私の初のリアルタイム・ゴジラは、思い出フィルター付きで☆5つでお願いします。
*【本作の脇役たち】
佐原健二、『ウルトラQ』の万城目淳
黒部進、『ウルトラマン』のハヤタ隊員
古谷敏、『ウルトラマン』のスーツアクター
天本英世、『仮面ライダー』の死神博士
特撮ドラマのヒーロー、ヴィラン、大集合や〜!