以前に「空の大怪獣ラドン」を観た時にも感じたが、後半の「大怪獣バトル」のシーン辺りから急激に眠気に襲われる。
「現代の目」が息を飲む激し過ぎるアクションやSFXに慣れてしまったのか。
どうしても怪獣同士のバトルは楽しくない。
愛嬌として観れば、それはそれで味わい深いが、何か突出して映像的カタルシスを普遍的にもたらすものではない、と個人的には思う。
しかし、断片的にはその「特撮」の面白さや映像的なカッコ良さも光る点はある。
何より、キングギドラ「爆誕!」のシーン。これはカッコイイ。爆発からの爆炎、からの炎の集まりから現れる三つ首で金色の巨龍。当時、きっと大興奮だっただろうというのは想像に難くない。
ストーリーは前作以上に後退し、注釈付きの娯楽性重視となっている。
「あの人は今?」的なテレビ番組に出演しモスラの近況を伝える小美人。
現代の感覚で言えば「ひとつは死んでしまったの」とアッサリ片付けてしまう辺りはなかなか驚く。
…ザ・ピーナッツの小美人は全体的にそういう傾向があるのだが…。
本作は星由里子、小泉博、志村喬、佐原健二、平田昭彦などの「怪獣映画オールスター」キャストでもあり、何より日本のボンドガールのひとりである若林映子の存在感と美貌が光る。
またインファント島の描写における「南洋幻想」的な世界観はシュールにも見えるしファンタジックにも見えなくはなく面白い。
また、阿蘇山における「200円で火口に帽子を取りに行く」という危険フラグの中にある「戦後の拝金ニッポン」批判めいた描写もみどころ。
また夏木陽介と伊藤久哉たち暗殺者たちの攻防は007映画的であり、ラストの若林映子と夏木陽介の関係性は「ローマの休日」オマージュであったりと、なにかと情報量の多い映画でもある。