柏エシディシ

ウィリーとフィル/危険な関係の柏エシディシのレビュー・感想・評価

3.0
発掘良作!
日本では劇場公開は無く、一度TV放送されただけでソフト化もされていないとの事。しかしこれがシネフィルを刺激するポイント盛りだくさんの佳作でした。

トリュフォーの「突然炎の如く」を主人公たちが観るシーンから始まる通り、奔放な女性と2人の男たちの奇妙な三角関係、友情の物語という「定型」。
映画におけるこの「黄金のトライアングル」にどうして映画の作り手も観る側も魅力され続けてしまうのだろう?
軽いタッチで描かれているけれど、70年ごろからのディケイドをひと組の恋人たちを通じて描き、アメリカの若者の価値観の揺らぎや変遷を描き出していて、とても興味深かった。

Rドナー版スーパーマンのロイスでお馴染みのマーゴット・キダーが自立した女性を好演している。本作を地でいく人生だった様で。悲劇的な晩年が悔やまれます。
ツインピークスのトルーマンの人も良い味。いい奴だけれど、ちょっと身勝手だよねーw

あと、学校の授業で不良っぽいナリながらシェイクスピアを諳んじてみせる学生を若きローレンス・フィッシュバーンが演じていて必見。
ワンシーンだけれどインパクト強い。
クレジットはラリー・フィッシュバーン3世でした。

キラキラしたなんだか懐かしくも不思議な質感の撮影だと想っていたら、ベルイマン作品でおなじみのスヴェン・ニクヴェストの撮影らしい!
意外。こんなのも撮っているのだなぁ。
確かに80年代のある時期から90年代初頭まで、よく見られた撮影スタイル。
ニクヴェストがヨーロッパから持ち込んだという町山さんのお話にナルホドと。

ちょっと埋もれてさせておくには勿体ない、美味しいところがたくさんある作品。
鑑賞の機会がありましたら是非とも。
柏エシディシ

柏エシディシ