かめの

緋色の街/スカーレット・ストリートのかめののレビュー・感想・評価

4.5

序盤、主人公の中年男性クロスは仲間たちに仕事の功績を祝われ、社長から高価な時計と葉巻を受け取る。この時、社長は自分、隣の同僚の順に火をつけてから、クロスに「迷信は信じるかね?」と聞く。ここでクロスは「いいえ」と返し、右手をゆっくり下ろして人差し指と中指をクロスさせる。

以上のシーンは、社長が自分、隣の男性に火をつけ、3番目にクロスの葉巻に火をつけること=1つのマッチで3人の煙草に火をつけると死ぬという迷信を指しており、それを否定するクロスの仕草は幸福を祈る意味でも使われる指のクロス=嘘をついたことを示すと考えられる。つまり、クロスは迷信を信じている。

しかし、死んだのはクロスではなかった。いや、もしすると本当はあの時からクロスの「死」は決まってしまっていたのだろうか。

中年男性が若い娘に恋に落ち、騙される話、とあらすじを話せば陳腐だが、途中から猛スピードで面白くなってくるから不思議。しかし、懐中時計はどこにいったの?

ルノワール監督『牝犬』のリメイクらしいので、ぜひ比較検討してみたい。
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