【スパイ物としては難ありだが】
DVDにて。
米国の中枢情報に接する部署に長らく勤務しながら、ソ連に情報を売っていた男。
それを知ったFBIが男を別の部署に移して、若い部下をつけ、その部下を通じて探りを入れる、という筋書です。実話が元になっているとか。
でも、スパイ物としては面白くないんですよね。
彼がどういう情報をどういうふうに掴んで、それをどういう手段でソ連側に流していたのか、そして操作する側がどういうふうにそれを突き止めて立件に持っていくかがこの主の物語の勘所のはずですが、後者はともかく、前者についてはこの映画ではあまり触れられていないからです。
代わりに、と言うべきか、若い部下と問題の男(50代半ば過ぎで定年=57歳間近)のやりとりがメインになっています。
たしかに上司がスパイかどうかを若い部下が調べるという面もありますが、むしろ上司がカトリックの熱心な信者で、部下とその妻を信仰に誘い入れるあたりに時間がとられています。
これ、事実そのままなのかも知れませんけど、どういう意味があるのか、分かりにくい。
長年スパイ行為を続けてきたことへの贖罪意識で信仰に熱を上げているのでしょうか?
スパイにもそれなりの人生があるという意味でなら分からなくもありませんが、そうなるとこの映画のコンセプトそのものを大幅に変更しなければならないはず。でも、スパイの人生をしみじみと描く映画になっているわけでもない。
役者は悪くない。スパイ役のクリス・クーパーに独特の味があるし、私の好きなローラ・リニーが捜査する側のチーフになっている。スパイの部下となって密かに彼を調べる若手がライアン・フィリップですが、その妻役のカロリン・ダヴァーナスが美人。
というわけで、スパイ物としては50点ですが、俳優がいいので10点プラスします。