ルサチマ

最後通告のルサチマのレビュー・感想・評価

最後通告(1998年製作の映画)
4.7
ロケーションの撮影と音響がなにより素晴らしい。
山へ山へと登る人物たちは見た目ショットのフレームの中に月を捉えようとしているかのようだ。彼らは月の陰影を目撃し、隠蔽された子供の行き先を照らそうとする。そして月明かりとは対照的な光としてメディアのフラッシュがビカビカと子供を見失った親たちを照らす。フラッシュから逃れることをやめた親たちがカメラの前で堂々と降霊の儀式を実践するとき、子供たちの片鱗がふと立ち上る。この瞬間、やかましい極まりないメディアの光はフィクショナルな月光を形作る。神秘的光を堂々と虚の光へと変容させたこと。親なる存在が子供(未来)への虚を見つめる存在であることへと転じてしまうその痛烈な批評性が、徹底されたリアリズムの山々とフィクショナルな人工的空間に賭けられている。
ルサチマ

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