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縞模様のパジャマの少年のmiiのレビュー・感想・評価

縞模様のパジャマの少年(2008年製作の映画)
3.9
8歳の少年の濁りない澄んだ眼で見る世界。

ドイツ軍人の父親の都合により ベルリンから引っ越した先で
探検好きな8歳のブルーノは
フェンスの向こう側の農場に居る縞模様のパジャマの少年シュムールと出会い交流が始まる。

ブルーノがまだ理解できない世界が
大人には 観客の私たちには 少しずつ見えてきます。
「黒い煙」が 恐ろしくて恐ろしくて···
こうレビューを書いていても 想像もしたくないほど
わたしは恐怖を感じます。

ユダヤ人は徹底的に悪だ!という家庭教師が教える歴史により
次第にヒトラーに陶酔していく姉のグレーテル。

反して 非人道的な事実に嫌悪感を覚える母親。
祖母もそうですね。
この時代では 傾斜する者と反する者も確かに居て
後者は沈黙するしか術がなかったのだと描かれています。

シュムールとの友情を そうでないと嘘をついてしまい
守る事が出来なかったという申し訳ない気持ちから
柵の向こう側に行こうとするブルーノ。
思いつきでやろうとする子供の無謀さに
ドキドキしてしまいます。
向かった先は···?

呆然としてしまいました。

子供同士のお話なので 心温まるものかと思っていましたが
とても残酷でした。
言葉を失う···とは まさに本作を観た直後の言葉。
あのドアから遠ざかる画面を見つめながら
わたしはしばらく動けないままでした。

そう。これが現実。
ヒトラーによる圧力が さらなる圧力を連鎖させ
親が真実を子供に伝えなかった事の悲劇。
純真である子供に対して
酷い戦争の事実をぐさりと突き付けられる物語でした。

一緒に観ていただいたフォロワー様 ありがとうございます。
忘れられない作品となりましたね。
mii

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