ドルフィンキック

南北酔拳のドルフィンキックのレビュー・感想・評価

南北酔拳(1979年製作の映画)
3.9
過去に、地上波のテレビで放送されたカンフー映画。

「ドランクモンキー・酔拳」の正当な続編ですね。

キャストも、肝心のジャッキー・チェンが、出演していないのは、残念ではありますが、ほぼ同じキャストで、監督も、ユエン・ウーピンが、担当されています。

主演も、ユエン・ウーピンの実のお父様のユエン・シャオティエン、実の弟さんの袁信義が、演じていて、ユエンファミリーの映画なので、かなり、アクションのレベルは高いと感じました。

ジャッキー・チェンは不在ではありますが、他のキャストの頑張りで、「ドランクモンキー・酔拳」の続編としては、ストーリーはともかく、アクションは、十分に、及第点だったので、楽しめました♪
(でも、さすがに、ジャッキー・チェン主演の「ドランクモンキー・酔拳」には、アクション、ストーリー共に、及びませんけれどね。)

とは言え、ユエン・シャオティエンの作品の中では、蘇化子と妻のエピソードが、描かれていたり、出番やアクションも、多くて、彼の活躍をたっぷりと堪能出来る数少ない貴重な作品だと思います。

ユエン・シャオティエンV黄正利の酔拳対決も、楽しかったですね♪

音楽やロケのセットも、「ドランクモンキー・酔拳」と重なったりするので、酔拳ファン、ジャッキー・チェンファンの者としては、思わず、ニヤリとしました。

ただ、主演の袁信義は、「ツーフィンガー鷹」のラスボスや「ドラゴン酔太極拳」のラスボスなど、悪役のイメージが強くて、善人の若者の役が不思議な感じがしました。

袁信義って、剛腕で、力任せの粗削りなイメージがあるので、肉体の「柔軟性」や「美しさ」を必要とされる、「酔拳」の使い手としては、少しイメージが違うかなあ~?って思いましが、想像していたよりも、中々、健闘されていて、良質のアクションを披露してくれいたので、満足はしました。

ハンドスプリング、跳ね起き、連続ブリッジ、側宙、エビ反り前方回転、バックから両脇を抱えられた状態で、両足を宙ぶらりんにして、円を描くような動き(ムーブ)は、昔、地上波の日本のテレビの音楽番組で、イギリスで開催された、「UKブレイクダンスチャンピオンシップ」で、初出場、初優勝した経験のある、PaniCrewの植木豪さんが、同じような華麗な動き(ムーブ)を披露されていたのを憶えています。(もし、記憶違いでしたら、ごめんなさい。)植木豪さんと言えば、「ドラゴン・ロード」でのジャッキー・チェンよろしくとばかりの壁宙も、とてもカッコ良いですね。ドロップキック、ルチャドール(プロレスラー)のアントンティス選手の得意技のラ・アトランティーダ風のバックブリーカー(背骨折り)・・・。

連続ブリッジのシーンは、「ドランクモンキー・酔拳」で、ジャッキー・チェンが、棒の使い手とのリベンジ戦で、魅せた、ブリッジ→ブリッジ→(連続ブリッジ)→跳ね起き→540ダブル→テーブルの上で倒立して敵を翻弄するアクションシーンを思い出してしまいました。
ひょっとして、あの連続ブリッジは、袁家班ならではの動き(ムーブ)なのかもしれませんね。

カンフーアクション、随所に散りばめられたアクロバットの数々も、ナイスでした!(ただ、アクロバットは、ダブル(代役スタント)っぽい個所もありましたが・・・。)

とにかく、ユエン・ウーピンならではの京劇をベースにしたアクロバティック且つリズミカルな華麗なカンフーアクションが、最高でした!

個人的には、カンフー映画=芸術って言う認識なので、肉体アート全開!の立ち回りに魅了されてしまいました。

黄正利は、老人みたいな扮装をしていたせいか、どこか滑稽に見えて(個人的な意見ですが。)、いつもの、「ふてぶてしさ」や「貫禄」が影を潜めて、尚且つ、蟷螂拳も、足技を得意とする、彼のイメージとは違っていたので、「スネーキーモンキー・蛇拳」や「ドランクモンキー・酔拳」でのラスボスを演じた、黄正利と比べると、少し、物足らなさはあったものの、相わからずのキッカー振りで、らしさは出ていたと思います。

あと、任世官は、妖怪役として、病気拳の使い手で、ユニークなキャラクターを怪演されていて、ナイス!でしたし、バレリーナおばさんの林瑛は、前作よりも、アクションが、増量して、テーブルの上から側宙して着地したり、足をピンとまっすぐに伸ばした足技も、素晴らしくて、彼女の持ち味である華麗なアクションをたっぷりと堪能出来たので、満足出来ました。
槍を手にした、元奎と刀を手にした、林瑛の武器対決も、実に、美しかったと思います。
それにしても、林瑛の肉体の柔らかさは驚異的ですね。

ラストバトルは、華麗な対決が、続いたのですが、案の定、袁信義は、終盤は、力任せの荒削りのファイトになってしまいましたが。

とは言え、正に名勝負でした。

突然、終わるエンディングは、当時のコミックカンフー映画らしくて、何だか、ほっこりしました。

それから、願望ですが、「酔拳 レジェンド・オブ・カンフー」では、酔拳とブレイクダンスが、融合された、華麗なアクションが、魅れましたが、いつか機会があれば、ユエン・ウーピンに、カンフーとトリッキング(XMA)やパルクールの技や動き(ムーブ)を混ぜ合わせた、超絶カンフー映画を撮って頂きたいですね♪

本作は、過去に、1度も、ソフト化されたことが、ないので、是非どこかのメーカーから、日本語吹き替え版を収録したDVDをリリースして頂きたいですね♪

映像特典付きの2枚組のDVDとか、リリースしてほしいですね♪