アニマル泉

侠女/俠女 第一部:チンルー砦の戦いのアニマル泉のレビュー・感想・評価

4.3
キン・フーが世界にデビューした武侠アクション。明朝末期、訳ありで朝廷から追われている謎の女ヤン(シュー・フォン)と軍師グー(ティエン・ポン)が次々と放たれる追手と戦い抜いていく貴種流離譚だ。マカロニウェスタンのような仕上がりである。アップが多い、カメラ移動撮影の多用、シネスコ、音楽の盛り上げ、オーバーなリアクションなどだ。なんといっても斬新なのはトランポリンを使ったアクションだ。今ならばワイヤーアクションになるのだが、当時はトランポリンを使って飛び回りながらの殺陣が発明だった。有名な竹林のアクションや森の中など、木を蹴って上から落下する斬り合いが面白い。前半は夜の場面が多い。砦の戦いは人形、篝火、風鈴、お化けを利用した夜の謀略が面白い。全体にセリフが少ない。映像で見せ切ろうとしている。ただしキン・フーはしつこい。ワンカットごとがすべて意味ありげに見える。だから前半の物語の運び方がゴツゴツしていて、なかなか話が見えない。アクションはカットバックが多い。影の使い方が上手い。後半は森や林から一転してオープンな岩場でのアクションになる。ロングショットで勝負している。後半は誰が主役なのか分からなくなって破綻してしまった。ただしその欠点を圧倒的なアクションで凌駕している。アクションに次ぐアクション。とにかくしつこい。最後はなんと法力だ。ネガ反転、クローズアップ、ズーム、まさにマカロニウェスタンだ。金色の血が衝撃だ。第一部と第二部をまとめた3時間版の上映。
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