シネフィル母ちゃん

ル・アーヴルの靴みがきのシネフィル母ちゃんのレビュー・感想・評価

ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)
5.0
学生時代に「過去のない男」を観て、カウリスマキにどっぷりハマった私。
他の監督作品を観ても
「カウリスマキ作品、最高に大好き。でも、"過去のない男"を越える作品はないのかもしれない」
ってずっと思ってたんだけれども、この作品がそんな私のカウリスマキ作品ランキングに変化を与えてくれた。
カウリスマキを好きになってから8年間、不動の1位だった「過去のない男」をぶちぬいて見事にナンバーワン作品になったのが「ル・アーヴルの靴磨き」だった。

いつもの心地良い空気感や、なんとも言えない静けさとシュールさは今作も健在。
でも、他の作品と圧倒的に違うのは鑑賞後の「にこにこ感」。
カウリスマキ作品の中で一番のハッピーエンドに仕上がってて、ニコニコとニヤニヤが止まらなかった。

静かに淡々と進む中で、どのシーンにも感じるカウリスマキのありったけの愛。
それが居心地良すぎて肩の力が抜けていく。
暗い雰囲気は漂ってるんだけど、でもその雰囲気を確かに優しさと明るさが包みこんでくれて……あぁ最高。
難民の背中を映画を通してそっと押してくれているカウリスマキ先生、やはりあなたは最高です。
だから引退は本当に哀しいです。嫌です。