靴磨きを生業とする
さして明るくない境遇に
身を置く初老の男が、
「行き場を間違えた」
黒人亡命少年と
出くわしたことで、
閉塞感のある日々に
膨らみが起こる物語。
見ず知らずの人間のために
見返りを求めず動くこと、
主人公の周りの人間が
そっと差し出す善意、
そして夫婦の愛。
全ての風が温かい。
感情のこもらない台詞や身振り。
大胆な省略。
そぎ落とされたアングル。
そのくせ伝わってくる人間模様。
なんとも言えない
カリウスマキ的世界。
独特の表現と空気感。
染みるハッピーエンドに
何度も胸を焦がしたくなる。
とてもビターなハッピーエンド。