お話探し

最後の人のお話探しのレビュー・感想・評価

最後の人(1924年製作の映画)
4.0
こんな100年近く昔の作品に、“リストラを家族に報告できず、公園のベンチで時間をつぶす父の悲哀”…と通じる(?)テーマが既に描かれていたとは…!

左遷の通告に腰骨までやられたようなショックの受け方や、酔っぱらって見た夢の内容、卑しい嘲笑に曝される…など、基本「あぁ、不憫…可哀想に…」と思いながら観ていたのですが、目の前のトイレの仕事よりも失った制服(権威)にばかり執着している様子に、この男自身も別段立派なわけではなく、観ているこちらの恥部をきちんと映し出してくる、意地悪な味わいでした。

付け足されたラストには賛否両論あるようですが、自分は(なくても十分成立しているのは前提で)わざわざ「あんまりなので付け足してあげました」というテロップを残した点や、男の家族は出て来ず、結局のところ享受しているのは物質的な豊かさ…という点に、これはこれで皮肉が効いているな…と思いました。
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