安堵霊タラコフスキー

王手飛車取りの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

王手飛車取り(1956年製作の映画)
4.0
先日リヴェットの二人目の奥さんが来日してたということで久々に見てみたけど、メルヴィル ほどではないもののその切れ味の良いカットと演出の数々には感嘆した

男女関係の駆け引き的なものにはそこまで面白味を覚えない質なのだけど、この映画は終盤の皮肉的描写がある意味心地良かったし、何よりモチーフとなったチェスの如く卓越に配置された役者の動きと編集の絶妙さは毛色が違うけどジャック・タチ作品のような様式美すら覚えるほどで、長編デビュー前にもかかわらず見事に洗練されたリヴェットの技巧には恐れ入った

クープランの音楽もあって全体として軽い雰囲気になっていたのも良く、同じような題材をよく手がけていた成瀬や増村と違って暗い感じになっていないのも、重い恋愛描写だと逆に馬鹿らしく思える身としては有り難かった