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神弓 KAMIYUMIのRのネタバレレビュー・内容・結末

神弓 KAMIYUMI(2011年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2011年の韓国の作品。

監督は「バトル・オーシャン 海上決戦」のキム・ハンミン。

あらすじ

戦乱の17世紀、清国に捕らえられた妹のジャイン(ムン・チェウォン「風水師 王の運命を決めた男」)を取り戻すため、父から譲り受けた「神弓」を手にたった1人で10万の軍勢に戦いを挑むナミ(パク・ヘイル「王の願い ハングルの始まり」)の姿を描く。

U-NEXTにて、2度目。

日本語のパッケージの謳い文句「最終兵器、それは弓」のあまりにも潔いことで一部界隈では有名な作品。

今作、個人的には思い入れがあって、多分本作を観て「韓国のアクションって面白いんだなぁ」って思って、それ以降も色んな韓国アクションものに手を出したんだよなぁ。

で、本作、お話はあらすじの通りのアクション大作って感じなんだけど、「歴史もの」の要素もあって、17世紀に実際に起こった「丙子の乱」という戦争をモチーフにしている。

また、その中で登場人物たちが「儒学」や「科教」といった聴き慣れない学問を学んでいたり、ジャインの婿となるソグン(キム・ムヨル「食われる家族」)の衣装が昔の韓国の礼装っぽい感じだったりとなんとなくそれっぽい。

ただ、本筋のお話はほとんどフィクションで、登場人物たちも実際の人物はいなかったりするので、あくまでも戦争下をベースにしたお話として結構不思議なバランスの作品だったりする。

で、お話的には前半で捕らえられたジャインを救出する流れがまずあって、そこから離れ離れになってしまったナミと敵部隊との命をかけた「追いかけっこ」がメインとなる。

その中でやはりなんといっても主人公ナミの弓捌きが格段にすごい!!見た目は髭面の薄汚れた若者なんだけど、ジャインが清国に捕らえられると一念発起!!森の中にハイドしながら1人また1人と冷静な判断力と確かな弓捌きで敵を屠っていく!!

例えば、清国の若き大将と鉢合わせして、その部下に捕らえられそうになる→実は速射してその部下を即死から始まり、向こう岸に飛び移ろうとする敵がジャンプする無防備な瞬間を狙って弓を放ったり、敵が使う「六両矢(矢尻に六両の重さを持つ殺傷能力に長けた矢)」を死体から持ち去ると岩陰でDIY精神を発揮、追撃する敵に鋭さを上げて攻撃力特化の矢を放ったり、ダウンしている敵を助けようとした敵に向かって六両矢を放ってダブルキルしたりと見せ方もバリエーションも豊か。

また、序盤の伏線を生かして、敵部隊に追われる最中、大声を出したと思ったら付近に巣食う虎を呼び寄せて、ぶつけたりと森を熟知しているからこそできる弓以外の戦法を使って多対一という圧倒的に不利な状況下でもものすごい健闘っぷりでカタルシスもあった。

対する敵部隊のトップ、ジュシンタを演じたリュ・スンリョン(「エクストリーム・ジョブ」)もカッコよくて、登場時はナミと鉢合わせした際の憮然とした表情から、なんか舐めプしてる嫌な奴かと思いきや、まさに武人という感じでこちらも冷静にナミを追い詰めようとする感じでカッコいい。

また、観ていて、どっかで観たことあるなぁと思ったら、日本からあの「逃げ恥」の大谷亮平(「仮面病棟」)が敵の1人として登場!劇中では聴覚障害をどうやら持っているらしく、手話を使ってジュシンタに冷静に情報を伝える索敵役をしていたり、終盤、その身を挺してジュシンタを守ろうとするなど存在感を発揮していた。

で、このナミ、「前推泰山、発如虎尾(泰山のように大きく構えて、虎の尾のように射る)」をモットーに自分の命を投げ打ってまでナミたち兄妹を守った父親から譲り受けた「神弓」の練習に励む努力家なんだけど、その終盤、遂にジュシンタとの一騎打ちとなる最終戦、ジュインを人質にされ、もはやここまでかと思いきや、「風は計算するものではなく、克服するものだ」と弓矢を放つにおいて最大の障壁でもある「風」を突破して覚醒した一矢を放つラスト、かっこよすぎるだろ…。

その後のジュシンタの最期も含めてこの場面は個人的にも忘れられない名シーンとなった。

改めて観ると歴史ものとしての要素はとっつきづらい部分もあるけど、場面の見せ方の工夫やケレン味溢れるアクションもあって、やっぱ改めて観ても面白いと実感できる作品でした!
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