ろくすそるす

突撃!O・Cとスティッグス/お笑い黙示録のろくすそるすのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ザ・夏映画PART2!バッドチューニングでお馬鹿な内容の、青春ドタバタ&パロディの珍作。監督は、ハリウッドの奇才、ロバート・アルトマン。
 ロブスターとキング・サニー・アデが大好きなOCとスティッグスというお馬鹿高校生のコンビが、地元の保険会社を営むブルジョワのシュワブ一家に、様々ないたずらをしかけていく。何でシュワブにここまで異常に執拗するのか、理由はあんまり明確に示されないが、職員室での場面から、OCと一緒に暮らす元刑事の祖父(決まって事件現場のグロい話ばっかりする!)への年金が足りないからだと思われる。そして、シュワブ一家は典型的な「保守派」の米国人であり、俗物(ドケチで頑固な親父、隠れて飲酒する妻、エロ本ばかり読むマヌケな息子、新婚ほやほやの長女レノーラと東洋人の花婿)であるからだろう。
 このOCとスティッグスの、一夏の馬鹿騒ぎ話と言ってしまえば身も蓋もないのだが、実際それが延々続くのだから話は早い(笑)
 脇を固める連中も、そろいもそろって曲者ばかりがたくさん出てくる。ゲイの演劇教師、セクシーな保健婦さん、演劇狂いのスティッグスの母と保健婦と不倫している父。そして、何よりも、デニス・ホッパーがベトナム帰りのイカレた軍人(ヤクを栽培し、大量の武器を所持)役で出てきて、『地獄の黙示録』のキルゴア中佐よろしく「ワルキューレの騎行」のBGMでヘリに乗って颯爽とやってくるところが、この映画の白眉!『スウィート・スウィートバック』の監督でブラック・エクスプロイテーション映画の父、メルヴィン・ヴァン・ピープルも印象的な役で登場する。
 タイヤを浮き輪にしてメキシコまで川流れで行ったり、シュワブ家のプールにあばずれ二人と忍び込んで戯れたりと、途方もない馬鹿なことばかりするが、OCとミシェルとのロマンチックな恋愛シーンや、終盤に少し切ない展開も用意されていて、油断できない。
 いわゆる「痛快系」の笑える映画ではなくて、ゆるゆるのコメディなので、乗れない人もいそうだけれど、それでもラストのハチャメチャな展開は、映画を観る面白味がたくさん詰まっている。偏愛作。ビール片手に観る映画。