梅田

アッカトーネの梅田のレビュー・感想・評価

アッカトーネ(1961年製作の映画)
4.2
ピエル・パオロ・パゾリーニ初の長編監督作。売春婦のヒモとして生きている青年アッカトーネが、純真な女性と恋に落ちることで真人間になろうとするが……。デビュー作にしてこの辛辣なタッチ、と言うべきか、あるいはまだ男女の恋愛や労働といった若者的で普遍的な悩みが題材になっているあたりとっつきやすいと言うべきか。
アッカトーネが恋人の処女性にこだわるのはおそらくキリスト教的なモチーフが関係しているのだろうけど、この辺は正直あまりついていけない。そのかわりギョッとするのは川辺のシーン、主演のフランコ・チッティの顔を泥だらけにする演出で、このショットだけでも後のパゾリーニ映画の片鱗がビンビン伝わってくる。もちろんここで、アッカトーネは半笑いなのである。パゾリーニの映画における笑顔とか笑い声って、どこか空っぽな感じがして、演出意図にあるのかどうかはわからないけどなんだかゾッとしてしまう。
梅田

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