ベビーパウダー山崎

血みどろの入江のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

血みどろの入江(1970年製作の映画)
4.0
何度見ても話がデタラメでよく分からないけど、人殺しの凶悪さには毎回惚れ惚れする。逃げる女性をキャメラで追いかけ短いカットを繋げて首を切る臨場感を演出、ナタが顔に飛びつくようなショックゴアも最高。濡れ場の二人を串刺しにするジェイソンばりの残虐、重なり合ったままピクピクと動いているのも生々しくて良い。タコが人間の死体を食べるのは、この映画で俺は学んだ。斧でバッサリと首の切断面、銛が腹に突き刺さった男が血を吐きながらも抵抗するのがリアル。たんに死体が積み重なるだけではなく、「死んでも別に構わないような奴だけど、ああこいつも死にたくはないんだなあ」と客に思わせるのが大事。もう謎がどうとか欲に溺れた人間がどうなろうが関係ない。生き残るために殺し合い、結局は全員平等に死ぬ。
異常な殺しを見せつけ、血みどろの死体をどう映すかに特化した狂った映画。野性的で下品な作家にこういった映画は扱えない、背広着て映画を撮っていそうなマリオ・バーヴァだからこそ、さも平然と度を超えた暴力を映すことが出来る。素晴らしいね。