けーはち

ムーランのけーはちのネタバレレビュー・内容・結末

ムーラン(2009年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

ディズニー映画で有名な『ムーラン』の本家本元・中国バージョン。病の父の代理で兵役につき、異民族との戦いで北魏王朝を勝利に導いた男装の英雄・花木蘭の伝説をベースにしているのは同じだが、本作はコテコテの古装片(中国時代劇)の色合い。

だが、ムーランの女バレを隠匿した上官が実は後の皇帝になる王子様(演者は美形歌手・俳優、チェン・クン)で、さらに同郷出身の幼馴染(演者はジャッキー・チェンの息子、ジェイシー・チェン)も彼女を陰日向に支えるという点が少女漫画チック、ご都合主義メロドラマで面白い。

男の世界へ飛び込んだ男装の麗人を、「1番手=イケメン王子様」「2番手=良い奴」が支えるという構図は、まさに少女漫画の人気作品「花ざかりの君たちへ」と相似型である。

そのまま王子様と幸せになっても良かったのだが、本作は終盤に「ムーランの活躍で救い出された王子様は、敵との和平のために政略結婚をし、ムーランは故郷に錦を飾るものの戦いで女としてはボロボロになった自分を見つめ嘆息する」という地味なリアリズムに舵を切る。個人が国を守るためという口実で戦いに駆り出され様々な思惑の犠牲になる描写は、中国側にも異民族側にもバランス良く配置されているし、哀愁漂う渋いエンディングもまた良い。

主演はヴィッキー・チャオ。どこからどう見ても美女であり、どう聞いてもその声は女なのだが、こういう作品のお約束である。アクションシーンもよく頑張っている。