イチロヲ

ポゼッションのイチロヲのレビュー・感想・評価

ポゼッション(1981年製作の映画)
4.0
度重なる赴任から帰宅した夫(サム・ニール)が、妻(イザベル・アジャーニ)の浮気発覚を受けて、疑心暗鬼と妄執癖に見舞われてしまう。女性のヒステリー症状を「Possession(悪魔憑き)」として描いている、オカルト・スリラー。

夫婦生活が不安定になり、夫との意思疎通ができなくなると、「妻を演じられる自分」と「妻を演じられない自分」のうち、後者の人格が表出。本来ならばエクソシストになるべき夫が、悪魔的人格に支配されてしまい、破滅の一途を辿る。

妻が寂れたアパートに別居する中盤部からサイコ・スリラーに転調。カメラ振り回しまくり&血管ブチ切れ寸前の過剰演出が絶妙なリズムを刻んでおり、触手系クリーチャーまでもが登場する。

ドラマの根底部分にあるのは、「聖性と魔性の心的衝突に苦悩する女」と「女の魔性に触れたことにより人生を破綻させられる男」の系譜。70年代の日活ロマンポルノと重複する要素が多いため、既視感が半端ない。言うなれば「団地妻 昼下りのイザベル」。
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