あんじょーら

ポゼッションのあんじょーらのレビュー・感想・評価

ポゼッション(1981年製作の映画)
3.3
吉祥寺アップリンクに、イザベル・アジャーニが!?

という だけ で特に予備知識も無く観てきました。40周年HDリマスター版です。

もちろん初見の監督アンジェイ・ズラウスキー…なんなんでしょう、この感覚は。


単身赴任から帰ってきたマルク(サム・ニール)は、妻アンナ(イザベル・アジャーニ)といきなり口論になります、不穏感満載の冒頭です…


う〜む、唸りたくなる作品、めちゃくちゃ評価が分かれそう。とは言え、良い部分もたくさんあるし、古臭い部分も、冗長な部分もあるし、な作品。


まず、なんと言っても、イザベル・アジャーニが可愛く、美しく、妖艶で、狂気に満ちています。良くこの脚本で引き受けたな…とある地下鉄の回廊での1人演技は、超絶恐ろしいです、まさに、アジャーニ恐ろしい子って奴です。狂気が乗り移ってる…いや、狂気に乗り移られてる、乗っ取られてる感覚があります。また、1人2役なんですけど、そっちはまあ甘々に可愛いくて良いです。画面支配力といいますか、観客の目を惹くチカラに長けている感じですね。可愛いだけじゃない、何か、が確かにあります。個性的な役者さんなり、役者さんだけでなく、どんな表現者にも共通する、99%の努力と1%の悪魔との取引が出来る人、そんな感じの何者にも代え難い存在。また、この時だけの、若者の持つ輝きに満ちていて、素晴らしい。


あ、サム・ニールも頑張ってます、身体張ってます。


また、大変衣装が、重要な演出されていて、そこも私は良かったです。


さて、脚本なんですが…


これ、いや、この作品は、どんなジャンルに分けられるのか。サスペンス、スリラー、ホラー、どれでも良い感じで、どれでも無い感じ。


ただ、どっちつかずになってしまっている印象持ちますね。もっとデモニズムに寄せても良かったんじゃないかな?ただ、だとすると、もう少し最初の方で宗教色を出しておきたかったね。


また、この40周年HDリマスター版は、もしかして、基の版と変えてませんかね?なんか、ファイナルカット的な…どうしても、手数が多い気がするんです。あれもこれも、せっかく撮ったんだから、使いたいな、入れたいな、ファンは喜んでくれるんじゃないかな、的な…


正直、面白くなる作品だと思うし、役者も音楽も衣装も良いんです。私の好みで判断すると。


はっきり、編集に問題がある、気がします、私は。もっとソリッドに、タイトにしたら、名作になってたんじゃないのかな?もちろん、この雑多な感じが、 アンジェイ・ズラウスキーの良さなんじゃないか!というお叱りはあるかも、ですが。


不安感の煽り、狂気のほとばしり、悪魔の実在感、どれも良かったと思います。



ミッキー・ローク主演、アラン・パーカー監督『エンゼル・ハート』が好きな方(なんかコレだけでネタバレ感ありますが…)、ロマン・ポランスキー監督、カトリーヌ・ドヌーヴ主演『反撥』をもっとデモニズムしたものに興味がある方に、オススメ致します。


あ、いつも思うけど『反撥』の邦題は『嫌悪』の方が面白いと思うんだけど。