しなだれボンボン

ポゼッションのしなだれボンボンのレビュー・感想・評価

ポゼッション(1981年製作の映画)
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誰より愛したはずの人が得体の知れない何かを愛していく。愛する人とすれ違い分からなくなっていく恐れがあの異形として現れたのかな。妻が去って泣き暮れる日々を送るサムニールが次第に自分を取り戻していく様と、去ったのち次第に壊れていくイザベルアジャーニが真逆だった。ただ最後の最後にメッキの剥がれるサムニール観て、本当に救いのない映画。ベルリンの壁が象徴するものは分かりませんでした。
主演二人の怪演が凄まじいのだけれど、中でもイザベルアジャーニが地下鉄の通路で喚き散らして買い物袋の卵や牛乳を壁にぶちまけ挙句体の穴という穴からドロドロとした液体を漏らし慟哭するシーンは鮮烈。目も向けたくないシーンのはずなんだけど釘付けになってしまう、顔が好きってこういうことだな。彼女はこの映画で2役演じていて、もう片方はまるで天使のような役なので、映画中ずっと飴と鞭を喰らっているような気持ちでした。