櫻イミト

死霊アスフィックスの櫻イミトのレビュー・感想・評価

死霊アスフィックス(1972年製作の映画)
3.6
イギリス製レトロSFホラーの隠れた秀作。不死の秘密を突き止めた科学者の運命を描く。撮影は「アラビアのロレンス」(1962)など3度オスカー受賞した巨匠フレディ・ヤング。映画カメラマン出身ピーター・ニューブルックの唯一の監督作。

19世紀イギリス。超心理学会の科学者カニンガム(ロバート・スティーブンス)は死の瞬間の人々の写真に共通した影に気付く。公開死刑をフィルム撮影した結果、動物のような影が死刑囚に近づきスポットライトに当たると動かなく事が判明。影を“アスフィックス(死神)”と名付け、リンと水の組み合わせから放出されるエネルギーをあてると動かなくなると仮説を立てる。娘の婚約者ジャイルズ(ロバート・パウエル)を助手に研究を続けた結果、遂に死の間際のモルモットに近づいたアスフィックスの捕獲に成功。モルモットは復活し不死となる。実験に取りつかれたカニンガムは自分を電気椅子にかけ死の直前で発生するアスフィクッスの捕獲をジャイルズに頼むのだが。。。

面白かった。低予算でもアイディアとシナリオ演出で面白い映画になる手本のような一本。実験のために娘をギロチンにかける発想は突飛だが、舞台設定が19世紀とギロチン刑の全盛期なので見過ごすことができた(ただしイギリス史にギロチン刑は登場しない)。ラストシーンは老けメイクが安っぽく急にB級映画風になるが、物語の持って行き方としては納得できる。

ホラー映画史では題名をよく見かける名作だが日本ではVHSしか発売されていない。
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