停滞

田舎司祭の日記の停滞のレビュー・感想・評価

田舎司祭の日記(1950年製作の映画)
4.0
洗練と真実がキーワードになるのではないか。

見てわかるのは、まず構図として綺麗で背景にも余計な物が置かれておらず、シーンをカットに分け冗長に追わず大胆な省略(医者のとことか)を入れたりと、見事なまでに洗練されている。話の流れの中でアクションや激しい口論や暴力なども一切なく惹きつけられるのは悩む司祭をかたどる美しき洗練が一つあると思う。

もう一つ重要だと思うのが、全てをセリフでしゃべらせず日記を用いて語らせるという点。というのは、真実を追い求めたとき、人間の会話というのは必ずしも真実を口にしているとは限らないという点。まぁ日記も必ず真実が書かれるわけではないけども、彼の一人称視点で統一し、不条理と対峙する彼の心がつぶさに表現されている。

ラルジャンを見てのブレッソン2本目なので、違いを言えば、断片化がない。しかし、模倣させる演技を減らし、日記で心情を描写するというのは、ブレッソンの俳優論に続く道筋のように思える。

内容は、宗教がらみのことで信仰だとかあまりわっかりませーんが、信仰心が報われない感じはベルイマンとかでも見たことがあるような気がする。嘔吐して口の周りが汚れてる、イチゴがついたように、的な表現が妙に好きでしたとさ。
停滞

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