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イカリエ-XB1のrollinのレビュー・感想・評価

イカリエ-XB1(1963年製作の映画)
4.5
DON'T
PANIC

惑星ソラリスやコングレス未来学会議の原作者、スタニスワフ・レムによる小説『マゼラン星雲』を基にしたSF重要作。2001年〜&スター・トレックのお兄ちゃんにして、DARK STAR共産圏ver.が遂にデジタル・リマスターでスクリーンに登場だ!!

クラウト・ロック〜ノイズ系のMVのようなオープニングシークエンスの衝撃。のちに初期ヤン・シュヴァンクマイエの作品に携わるズデニェク・リシュカによる実験的な音楽は、時代を超越し、4.3光年彼方のアルファ・ケンタウリ星系に鳴り響いている。

モニターの枠や宇宙服、レゴブロック&光線の走った壁面等に代表される、レトロ・フューチャリスティック且つモダンなプロダクションデザイン。モノクロ撮影によってその美しい輪郭や形状は強調され、さらに照明&撮影部の優秀な仕事によって、あらゆるカットがグラフィカルであり、完璧な構図の数々には文句の付けようがありまへん。

円谷プロ製のような手作りの宇宙。全然楽しそうじゃないダンパ。『禁断の惑星』のロビー・チルドレンであるパトリックの愛らしさと、彼をただのロボット以上に想うアントニーのやさしさ。地球への慕情。そしてミハルのパニック。
彼らの暮らしや心の機微の汲み取り方、画面や音の使い方など、本作の形容として、もしも黒澤明がDARK STARを撮ったら‥というのは言いすぎか(でもまんざらじゃないと思ってる)。

イカリエ号は、思想や科学の及ばぬ領域に運命を委ねる恐怖を宿しながら、同時に人類の可能性も象徴する。宇宙で産まれた赤ん坊の産声は、イカリエ号が発した着メロのように船員たちにささやかな希望をもたらし、ようやくたどり着いた惑星は、壮大なビジョンで彼らを迎えるのでした。

こうして歴史はつながっていく。
ぐぅの音も出ない傑作!