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イカリエ-XB1のnagashingのレビュー・感想・評価

イカリエ-XB1(1963年製作の映画)
2.5
社会主義リアリズム全開なのが少々うっとおしいが、東側諸国らしい幾何学的で反復的な美術デザインは当然SFとの相性抜群。白と黒のコントラストもかなりキマっている。当時としては硬派かつ本格志向の作品で、半世紀以上を経たいまでもわりとフツーに観れてしまうマトモさが仇に。レトロフューチャーなキッチュさがはっちゃけたカルト性へと結実しないのはやはり味気ない。レム原作らしからぬ楽天的なラストにも拍子抜け。ロボットのガラス張りの頭部(おそらく視覚センサーと人工知能が搭載されてある)に、周囲の人間を反射させることで、「彼」のまなざしを浮かび上がらせるカットは秀逸。HAL 9000へとつながる無表情ゆえの雄弁さが怖い。
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