岡田拓朗

砂漠のシモンの岡田拓朗のレビュー・感想・評価

砂漠のシモン(1965年製作の映画)
3.8
ルイス・ブニュエル監督特集にて。

絶対的有神論者、かつキリスト教信者で神に近づくために、あえて苦行を受け入れて、神になり切ろうとしているシモンを軸に、そのシモンを崇拝しているように見せて利用しているように見える人々、真反対から切り込んでいる人々、人間を悪魔と揶揄している様などから、神そのものと神を信ずるものを滑稽に扱っている描写に、無神論的思想が反語的により強く訴えられている。

シモンを苦行を受け入れる神的存在として描いていたけど、結局神なんて存在していなくて、人間は人間ですからと言わんばかりに、いとも簡単に神のシンボルとして描かれている塔からは降り、髭も綺麗に剃った上で、人間の生活に戻り、肉体核弾頭という訳の分からないダンスが蔓延る俗世の世界へと誘う展開、エンドはどうも神という存在自体を嘲笑ってるようにしか見えない。

自身の論をこんな形で表現できる人こそ真の芸術家になんだろうなー。

ほんまにラストなんやねん!笑
岡田拓朗

岡田拓朗