続 網走番外地は、『網走番外地』シリーズの第二作。第一作は白黒作品で会ったのに対し、本作はカラー作品。両作品とも1965年の公開で同一の出演者も多数出演しているのだが、カラーになるだけで、時代が一新したような印象を受ける。本作は第一作の設定を、ある程度は引き継いでいるので続編と言ってよい。ヤクザが登場人物の中心となるが、第一作同様、暗さはなく、アクションも穏当で、残酷なシーンもなく、鑑賞後の後味はよい。舞台は函館と青森。太鼓と笛の音が印象的である松明を使った火祭りが映画のハイライトであるが、ねぶた祭に見られるような台車も登場し、どの祭りなのかはっきりしない。
本作の魅力は高倉健のユーモアと優しさを兼ね備えた男らしさであるが、若々しく後年ほどの重厚さはない。そんな高倉に男惚れするのが、中谷一郎(テレビシリーズの水戸黄門の「風車の弥七」で有名)。高倉と同年齢の中谷は、本作では一見クールだが熱いハートの殺し屋役で、高倉を喰ってしまうほどのカッコよさ。以下の二人の会話は痺れる。
中谷「(命を狙われても堂々としている高倉に)ちょいと惚れちまったぜ」
高倉「(一緒に仕事をしないかという中谷に)冗談言うねぇ。男を売って食っている稼業だからな俺は」
中谷「俺は、これと見込んだら必ず落とす。男でも、女でもな」
第一作と同役で登場するのが、嵐寛寿郎と安部徹で、嵐は映画の流れを変える役所は前作同様に痛快で、安倍は前作に輪をかけた悪役ぶり。安倍の部下に室田日出夫が存在感を見せる(高倉との一騎打ちがないのが残念)。ユニークなのはストリッパー役の三原葉子(岩手県盛岡市出身)で、ストリップ舞台のシーンでは、半身が男性、半身が女性の衣装を着て、ひとりであたかも男女が絡み合っているかのようなパフォーマンスを見せるが見事。
高倉のテキヤの不器用な口上があり、流れるようなフーテンの寅さんの渥美清のものと比較するのも楽しい。ただ、高倉が、地元のテキヤの親分(ヤクザの一家に高倉が直談判)から権利を得るシーンなどは、(寅さんでは見られない)テキヤの裏の顔がわかり、寅さんの暗い一面が想像でき、複雑な思いにはなる。
本作の予告編には、主役の高倉健が舎弟のアイジョージと、田中邦衛の逃亡を函館で助けるシーンが収録されているが、本作にはそのようなシーンはないので、予告編と本編の違いを楽しめる。