茶一郎

アンソニーのハッピー・モーテルの茶一郎のレビュー・感想・評価

3.7
【短】今や世界最高のオサレ監督、ウェス・アンダーソン監督の長編監督デビュー作。本作『アンソニーのハッピー・モーテル』(邦題は物語とほとんど関係なし)は、ご機嫌な主人公アンソニーの精神病院脱走から始まり、アンソニーの旧友ディグナンに巻き込まれる形でアンソニーが強盗生活を始めるというお話です。

 本作以後もアンダーソン作品の出演を務める監督の旧友オーウェン・ウィルソンと大学在学中に撮った短編が認められ、本作の製作に至りました。
 本来なら次作となる『天才マックスの世界』がデビュー作になる予定だったようですが、最終的に『アンソニーのハッピー・モーテル』が長編デビュー作となりました。そのためか、いわゆるウェス・アンダーソン作品と聞いて誰もが連想する「シンメトリーな構図」、「俯瞰ショット」、「異常なまでの箱庭感」など監督のスタイルが出るのは『天才マックスの世界』からになります。

 一方で、ウェス・アンダーソン作品共通の「男と男の友情」、「はぐれ者(精神的に病んでいる)の物語」というモチーフはこの『アンソニーのハッピー・モーテル』でも見られます。腐れ縁の美しさと疑似家族の形成をオフビートなテンポと、美しい画面で見せるという監督の素質を再確認できる一本でした。