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バックドラフトのtakのレビュー・感想・評価

バックドラフト(1991年製作の映画)
3.7
80年代後半から90年代の僕は、一部を除いてハリウッドのヒット作を避けていた時代。今もその傾向はあるのだが、そんな中で見逃していた「バックドラフト」。多分ロバート・デ・ニーロを除く出演者がどうも苦手な人ぞろいで敬遠したんだろうな。世間で評価されてるヒット作に今さらだけど、エンターテイメントとして全く飽きさせないのは見事。ロン・ハワード監督ってやっぱり見せ方が上手い。「アポロ13」や「ラッシュ プライドと友情」では、ヘルメット被って俳優の表情が全て映せないのに気持ちが伝わる名演出だった。あ、これも防火服という被り物がある映画だなw

消防士の父が少年の目の前で亡くなる衝撃的な冒頭。その彼が大人になり、職を転々とした上で消防士として働くことになる。配属されたのは兄がいる17分署。現場で活躍する兄との確執。頑張れど空回りして現場の消防士を辞め、議員秘書をしている元カノの口利きで火災調査官となる。新たな上司となる調査官は、連続して起こっているバックドラフト現象による火災と死亡事案に共通点があることに気づく。

兄弟をめぐる濃密な人間ドラマである前半から、事件の真実に迫るサスペンス色が濃くなっていく。疑惑で観客を揺さぶって、真相のショウダウン、そして再び兄弟の感動ドラマへ。男くさいドラマだけに止まらず、消防士をとりまく女たちの抱える気持ちを描くことも忘れず、ズルいと思うくらいに映画的に面白いと思わせる要素を次々に示してくる。食わず嫌いだったな、これ。

死んだ父や兄、そして上司となる調査官は火の特徴やクセを知り尽くしている。主人公が父を奪った火を憎み恐れ、理解することを拒んでいるのとは対照的。それだけにクライマックスへ向けて行動が変わっていく様は、成長物語としての感動もくれる。なるほど、支持されている理由がわかった気がする。生きているかのような炎の見事な視覚効果。崩れ落ちる火災現場を時にローアングルで、時に大掛かりなセットでアドベンチャー映画のように撮る映像の迫力。

誰が苦手なのかというと、カート・ラッセルとウィリアム・ボールドゥィン。カート・ラッセルは、いつも熱量過多の演技をすげえなと思うのだけど、いい場面で泣き出しそうな忌野清志郎に似た表情するのがなんか苦手(ごめんなさい)。ボールドゥィン兄弟は長男を除いて、チャラいイメージしかなくてw。消防車の上でイチャイチャする場面に、ほらやっぱり!と思ったのでしたw
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