ハンスウ

風林火山のハンスウのレビュー・感想・評価

風林火山(1969年製作の映画)
3.5
この映画は約3時間と長いんですけど、途中で食事したり入浴したりを挟んでなんだかんだ観てしまいました。時代劇苦手だけど思ったより分かりやすかったのとスケールのデカさに引きつけられるものがありました。武田信玄が出てくる映画は黒澤明の「影武者」がありますけどあれもスケールがデカいですよね。でもそれよりも約10年前にすでに同じくらいのデカさの戦国時代劇があったんですね。単純にエキストラと馬の数がハンパない。

1番の目玉は豪華キャストじゃないかな。私の世代でもすぐに分かるのは緒形拳、田村正和、石原裕次郎など。他にも昔の東宝映画でよく見かける人が多いですけど、志村喬さんは「影武者」にも出てますね。あと萬屋錦之介。この人は前の名前の中村錦之助だった頃の股旅時代劇なんかも観たことありますけど演技が非常にうまい人でしたね。

そしてなにより、主人公、山本勘助を演じた三船敏郎。この頃はもうすでに貫禄がつき過ぎてしまってるのでとても人に仕える人に見えないからどうなんだろうと思ったけど、勘助を描いたいくつかの絵を見てみるとけっこうなコワモテだからハマリ役だったのかもしれないですね。セリフ喋るのがやっぱりヘタだなあと思ったけど、もう存在感が圧倒的だからとにかく場が持つんですよね。そこに居ればシーンが完成してしまう稀有な人です。

数年前に大河ドラマの「平清盛」では場を煙ったような雰囲気に見せるためにコーンスターチを多用したことが話題になるも、画面が見えづらいなどと批判されたりもしてましたよね。この「風林火山」でも合戦シーンで白い粉みたいなのを多用してました(笑)。たぶん小麦粉か何かかもしれないですね。地面にあらかじめまいておいたのか、馬が走り抜けた後に砂ぼこりが舞うのを強調するかのように使われてました。他にも濃霧のシーンで風を使って横から飛ばしたりして俳優たちは否応なしに吸い込んでたんじゃないかな。今ならCGで済ませるところを昔の人たちはあの手この手を使って苦労してたんだなあと思わせられました。

山本勘助の壮絶な死に様を演じた三船敏郎でしたが、特殊メイクががまだまだ未熟で笑っちゃいそうでしたけど、最後まで勇壮な姿を演じきって見せてくれました。お見事です。
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