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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦のtakのレビュー・感想・評価

4.3
 世のお母様方には「子供に見せたくない番組」の上位にランキングされる「クレしん」。”ぞ~さん”とか”ブリブリ~”とか我が子にして欲しくない気持ちは(痛いほど)わかるけど、それだけを理由にこのシリーズを否定する奴らを僕は許せない。そんな世の中の風評に対して、本作は文化庁が賞をあげちゃった。やるじゃん!お役所!。ファミリーで楽しめるこれはまぎれもない傑作である。

1.ここには家族愛がある。
戦国時代にタイムスリップしたしんのすけを追って野原一家が車に乗り込もうとする場面。「しんのすけのいない世界に何の未練があるんだ。」という父ひろしの台詞に、僕はモーレツに目頭が熱くなるのを感じた。クライマックスの死闘、決死のみさえの姿はどうだ。もうこれを書いていて泣けてくる(おバカ)。

2.ここには銀幕でしかなし得ないスペクタクルがある。
往年の大作時代劇をアニメでここまでやっちゃったことに拍手を贈りたい。「天と地と」なんかよりよっぽど興奮したよ。それに侍やそれをとりまく人々の台詞は大人の鑑賞にも堪える本格派。「矢弾を馳走してくれるわ。」とかガキにはわかんねぇだろう。「侍はこの世に未練があると十分な働きができない。」といういじり又兵衛(すごい名前)の台詞がなかったら、きっと「ラスト・サムライ」はなかったに違いない(ウソ)。

3.そしてここにはドラマがある。
大国に媚びるのを止める殿様の決断。今の世界情勢を思わずにはいられない。ラストの又兵衛の姿にはまた涙してしまう。さらに、現代に文(ふみ)を送って危機を伝える挿話がなかったら、マイケル・クライトンは「タイムライン」を書かなかったかもしれないゾ(ウソ×2)。

 宮藤官九郎が映画「アイデン&ティティ」のパンフに寄稿して、「ギャグマンガの方がトチ狂って書いたシリアスなマンガが好き」と述べている。手がこんでもいないし、上手な絵でもない。そんなマンガで人生の意味を考えるような瞬間って経験ないだろうか?。この「戦国大合戦」はまさにそれなのよ。世のお母様方、四の五の言わず黙って見てくれ!
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