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サランドラ IIのnetfilmsのレビュー・感想・評価

サランドラ II(1984年製作の映画)
3.6
 8年前に惨殺事件が起きた砂漠地帯で、バイクレースの参加者を乗せたバスがガソリン漏れのため立ち往生するはめに。そこで8年前と同様の殺人ショーが始まる。『サランドラ』の8年ぶりの続編となる今作は、ストーリーはまんま『サランドラ』を踏襲し、前作の主役の一人で奇跡的に生還したボブ少年が今も食人一族の恐怖が心理的トラウマとなっている描写から始まる。しかしボブ少年が出て来るのはこの冒頭部分のみで、あとは食人一族の末の妹だった女の子が人間社会に戻り、普通に思春期を迎えているというわけのわからない設定になる。ボブ少年はバイクレース用の新型燃料の開発に成功していて、彼の作った燃料を使ってレースに出ようとする若者チームが惨殺の餌食になるのだが、そもそもレース会場に行く途中に、地図にない文明社会から孤立した核処理施設の跡地があるか疑問が残る。

 クライマックスの洞窟の描写は、前作と同じくフーパーの『悪魔のいけにえ2』からの影響も色濃く出ている。主人公たちは怪物たちに襲われるよりも先に、自分たちが怪物になりきることで仲間を驚かす。そういう描写を執拗に繰り返している。若者たちは全員ことごとく馬鹿という人物設定も、『スクリーム』シリーズでセルフパロディ的により強調してやっている。カップルがセックスした直後に殺されるのも、クレイヴンの偉大なるワンパターンだろう。その中で唯一感心したのは、主人公のグループの中に聾唖の女性を入れていること。彼女の目が見えないことが、後にサスペンスを盛り上げる。前作で夜が明け、本格的な闘いが朝になったことに懲りているのか、今回のクライマックスは夜に行われる。そこがせめてもの救いだが、また前回と同じ犬が大活躍するのにも笑ってしまった。どんなに残忍な殺し方をしていても、結局犬一匹にやられてしまう。この映画の中で一番強いのはあの犬に違いない。
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