看守の頭を斧が襲うくだりを語る被写体に思わずこちらも昂ったかと思うと、不意に画面外から「顔が青くないですか」と尋ねるランズマンの声が聞こえてくる。冷や水を浴びせられ、おのれの倫理観を省みていると、最後にランズマンはあの独特の、しかし確実に怒りを伴った声色でユダヤ人犠牲者の人数を読み上げていく。顔の皺がクロースアップで極めて印象深く撮られてきただけに延々続くカウントに気圧されるのだが、ここでは、一人の人間が持つ質的差異が等閑視され、すべては量的差異に還元されるのである。この振舞いこそが戦争という極限状態を意味する。