鋼鉄隊長

女子大生・恐怖のサイクリングバカンスの鋼鉄隊長のレビュー・感想・評価

3.5
TSUTAYAで借りたDVDで鑑賞。

【あらすじ】
フランスの田舎町にバカンスに来ていたジェーンとキャシーは些細なことで口論に。一旦は怒って出て行ったジェーンだが、冷静になり戻ってくる。しかしそこにはキャシーはいなかった…。

 やたらにB級っぽい邦題。それでいて、まさかの「発掘良品」作品。行きつけのTSUTAYAでコレを見つけた時、目が釘付けになった。「ポロリくらいはあるんじゃないか」との下心もあったが、発掘良品ならば面白いだろうと思いレンタルしてみた。
 しかし、現実は非情であった。ちっともエロく無い。そもそも女子大生ですら無い! ちくしょう、騙された!! 別にそこまでエロい内容を期待していた訳では無いが、一般映画のポロリに心躍らせ『スピーシーズ』でエライ目にあった中学時代を経験した男子としては、この題名はそそられる。邦題を決めた人も、その心理を見抜いて付けたはずだ。いや、そうに違いない。
 邦題で勝手な期待をしてしまったのは自分が悪いが、それ抜きにしても高評価は付け難い内容であった。何せ展開がつまらない。今が起承転結のどの部分なのか分からないままダラダラと話が進む。カメラワークも平凡だ。それでいて無駄なシーンが多いのに、肝心の状況説明は皆無に等しい。何が起きているのか推測しないと物語に置いて行かれてしまう。
 だが流石は発掘良品。腐っても鯛である。見せ方が実に上手い。登場人物が全員怪しく見えるのだ。誰も彼もが口数少なくカゲのある演技をし、それをいちいち意味ありげに映してくる。例えば、中盤に登場する親切なご婦人の顔は、目が笑っていない。良い人に思えるのに、変化の少ない表情を見せられると疑ってかかりたくなる。その他にも、ボケ老人の奇行も考えがあってやっているようだし、登場してからの一挙手一投足が全て怪しい奴らがゴロゴロいる。冒頭で妙に軽快な音楽が鳴ったと思いきや、それ以降はBGMがほとんど流れないのも不気味さを増幅させる。演技、演出の乏しさが不安を掻き立て、観る者を暗闇に閉じ込められたような気分にさせているのだ。まさに疑心暗鬼。終盤で犯人が判明した時ですら、「いやアイツも怪しい。共犯なんじゃないか?」と思ってしまう。最後の一瞬までハラハラさせるとは、「観客の心を宙吊りにする」との意味を持つサスペンスとしては満点の出来だろう。
 思いもよらずアタリに出会ってしまった。本当に発掘良品はハズレが無い! まんまと騙されたが結果的には満足だ。これでお色気の一つでもあれば文句は無かったんだがなぁ
鋼鉄隊長

鋼鉄隊長