ぬーたん

ブラジルから来た少年のぬーたんのレビュー・感想・評価

ブラジルから来た少年(1978年製作の映画)
4.0
1978年作品、日本劇場未公開。
私も初見で隠れた名作だと衝撃を受けた!
あちこちにネタバレが書いてあるので、予備知識なしに観た方が良い。
原作はアイラ・レヴィン。
デビュー作『死の接吻』は素晴らしい出来で25歳とは思えぬ才能振りだったが、その後の『ローズマリーの赤ちゃん』は好みでなくこの原作も未読。
タイトルが何やら優しげだけど中身が凄いの。
監督はフランクリン・シャフナー。
『猿の惑星』『パピヨン』素晴らしかった!
特にラストシーンがね、忘れられない強烈なインパクト。
舞台は南米パラグアイ。
ナチスの残党が逃げた南米。
フィクションだけど実在の人物がモデル。
アウシュビッツ収容所の医師で、人体実験をして『死の天使』と言われたヨーゼフ・メンゲレ。
名前はそのままメンゲレをグレゴリー・ペック。
言うまでもなく『ローマの休日』のあのイケメン新聞記者。
62歳のペックはかなり老けていて、あの面影はあまりないけど考えてみたらモノクロからカラーに変ったこともあるのかな。
相変わらずシュっとしたスタイルが良くスーツが似合う細身の体。
やや大根っぽいペックが今作の悪役は演技も良かった。
ナチスハンターと呼ばれるリーベルマンはサイモン・ヴィーゼンタールがモデルと言われている。
多くのナチス政権下のドイツ人犯罪者の逮捕に協力し、アイヒマンの逮捕にも関与した。
このリーベルマンをローレンス・オリヴィエ。
有名だけど作品はあまり観ていない。
割と時代物が多いせいか?
マイケル・ケインとの作品『探偵ルース』が最高でまた観たいと母に頼まれたがDVDにすらなっていなかったわ。
『風と共に去りぬ』のヴィヴィアン・リーと結婚していたことが何故か印象に残ってる。
3度結婚したが、バイセクシャルの噂があり、あのマーロン・ブランドとキスしてたとか!想像したら…(-_-;)
今作では71歳で出演、ナチハンターと言うには覇気がなくオジイさん過ぎる感じだ。しかしそこは名優、静かでゆったりした演技が後半は頑張ってるわ。何だかかっこいいぞ。
奥さん役はリリー・パルマー。
レックス・ハリソンの元妻で、レックスは6回も結婚してるよ。
しかもかなり怪しいことが起こってる。関係ないけど調べちゃった。
その他ジェームズ・メイスン、ブルーノ・ガンツなども出ている。
少年役が良かったが、その後は何も出ていないようだ。
名前はジェレミー・ブラック。
なかなかの演技で怖かった。

40年前の作品で今観ると映像も荒いし、ストーリー展開も唐突なところもあるし、後半に行くと、ちょっと残念なシーンもある。
でも、サスペンスとしてもナチスを描いた作品としても、とても良く出来ている。
何より、グレゴリー・ペックとローレンス・オリヴィエの初老になった名優2人の凄まじい演技を観るだけでも、めっけもん!と嬉しい気持ちになった。
当初はカットされたというラストシーンもしっかり入っていて、監督得意のラストは今作も活きている。
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