きぬきぬ

ジプシーのときのきぬきぬのレビュー・感想・評価

ジプシーのとき(1989年製作の映画)
5.0
祖母譲りのほんの小さな不思議な能力を持つ貧しいジプシ-の青年の波乱に満ち翻弄される数奇な運命が、美しく幻想的な映像とゴラン・ブレコヴィッチの壮麗な民族音楽に彩られて、このジプシ-のロマニ語で綴られる哀切の物語を素晴らしい叙事詩へと昇華させる。
ジプシーたちの‘生’そのままな映像の見事さ。
両親を知らないが祖母に愛され妹思いに育った優しく純粋な少年ペルハンが、大人たちに翻弄されて堕ちて行く痛切さ。あまりにも悲痛だが真っ直ぐな強さが愛おしく悲しい。

ずいぶん昔に映画館でフィルムで観れたことは幸運!TVでも昔、放映されたことはあるはず。胸の痛さに泣きながら観てしまうけど、最愛の作品の1本!
初めて観たときは思春期で、主人公ペルハンの痛みをストレートに受け止めてしまったけど、時が経って再見して、少し距離は置けたけれどそれでもこの作品が素晴らしく愛おしさは変わらない。
祖母やペルハンが見る幻夢に不吉さがあることや、ペルハンの恋人アズラの悲しみが深く見てとれた。
2016年のUNZA!UNZA!クストリッツア特集でのリバイバル上映では2時間20分版。長尺ながら観てる間、時間感覚を失うから関係ないし、実はこの作品には270分バージョンが存在する。ちなみに120分版はソフト版。