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ファンタズム IIIのhorahukiのレビュー・感想・評価

ファンタズム III(1993年製作の映画)
3.8
『ファンタズム』シリーズ三作目。
オッサンと若者のアドベンチャーバディムービーだった前作と同じような路線を採った本作。今度はオッサンとキッズの凸凹バディコメディって感じの作品で、娯楽作としてはシリーズ中一番楽しかったです!

前作のラストを大きく裏切る「マジかよ…」展開からスタートするいつもの安定感は流石のひとこと。前作と同じく禿げ上がったレジーおじさんが主役を務めており、5年の加齢を全く感じさせません。

今回はトールマンに連れ去られてしまったマイク青年を連れ戻すためにレジーおじさんがトールマンを追うお話となっており、トールマンに両親を殺された超有能なティム少年と途中で合流して協力し合うバディムービー的展開をしつつも、ヌンチャクの使い手なイカツイ女子ロッキー、さらには球体化したマイクの兄ジョディまで合流するという大所帯。しかもみんな良いキャラなのでやり取りが楽しい!

見どころはやはりティム少年の有能さ。家に無断で踏み込んで来たチンピラ3人組(銃所持)をいとも簡単に殲滅。斧で頭カチ割ったり、殺人フリスビーで喉を掻っ切ったり。そして銃口を向けられても全く動じないメンタルの強さ。この超有能なキッズの魅力で一気に物語に引き込まれます。『赤い影』や『アリス・スウィート・アリス』を思わせる出で立ちで登場するのもポイント高い。

そして前二作で圧倒的殺傷能力を見せつけたシルバースフィアと、大ボスであるトールマンが真正面からぶつかり合うというファンならテンション上がる悪vs悪(本当は違うけど…)の一戦を見せてくれたり、過去作でトールマンに殺されたジョディがレジーおじさんたちに導きを与えてくれるというのもシリーズものの醍醐味的な嬉しい展開。

襲い来る超高性能な殺傷武器シルバースフィアに対してヌンチャクという超アナログな武器を構えて正面から立ち向かう肉体派女子ロッキーはめちゃくちゃ熱くてカッコイイし、やっぱり美味しいとこ持ってくティム少年の有能さも裏切らない楽しさ。

子を亡くしたレジーおじさんと親を亡くしたティム少年の間に親子のような絆が生まれていく展開は王道ながらもほっこりするし、そうかと思えば下半身に滅法正直なレジーおじさんはロッキーと一戦交えるために、ティム少年に「察しろ」的な目配せをするのは笑った。ちなみにレジーおじさんの女癖の悪さは前作から今作を経て定番化します(笑)

今作で銀玉(シルバースフィア)の秘密とトールマンの目的が少しずつ見えてくる。そういった謎を明らかにしていくという物語的な辻褄合わせの方向に舵を切った故のわかりやすい面白さはあるんだけど、幻想・空想であることの意味があった前二作に比べて『ファンタズム』としてのアイデンティティが無くなりつつあるのは残念。まあ面白かったから良いんですがね。
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