せーじ

もののけ姫のせーじのレビュー・感想・評価

もののけ姫(1997年製作の映画)
4.6
本作は、2016年末まで唯一複数回劇場で観た作品であり、自分のオールタイム・ベスト1位だった作品でもある。いま思うとまだまだいろんな作品を観てなかった自分を恥じたいが、改めて、それでもやっぱり名作だなと思う作品でもある。

この作品の魅力をひと言で言うと、最初から最後まで「白黒つかなさっぷり」が徹底されているのが物凄くリアルに感じられたところ、だろうか。
物語を形式的なハッピーエンドで締めるということを全力で拒んでいるところだと言ってもいい。
実際、劇中で彼らは何一つ和解も仲直りもしていない。サンとエボシたちはそのうちまた衝突するだろうし、エボシたちはアサノの侍達に滅ぼされてしまうかもしれない。どうせジコ坊達はまたぞろ何かを企むかもしれないし、そもそもアシタカが受けたタタリ神の呪いは、完治しきったわけではない。

でも、それでもアシタカは「共に生きよう」と、すべてを受け入れてサンに手を差し伸べるのである。それを「自然との共生が大切」だと安直に言ってしまうのもどうかとは思うけれど、そういう姿勢というか生き方は、これからの時代に絶対に必要になっていくことだろうと思う。
実際にやれと言われてもしんどいけれど。

なお首飾りの件は、カヤはアシタカに二度と会えないことを覚悟して渡したものであり、アシタカもまた、サンに二度と会えないと思ったからこそ渡したのだろう…と考えます。彼なりにあの首飾りは、旅をする上で御守りとして役に立ったと思ったので、サンにも…ということだろうって、ちょっと苦しいですよねやっぱりww
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