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もののけ姫のJUNのレビュー・感想・評価

もののけ姫(1997年製作の映画)
5.0
人生のトップ3に入るほど大好きな作品。
劇場では観られないと思っていたのに、なんとまさか観る機会が訪れようとは……
ずっと好きすぎて形容しきれなくて、レビューを書いてなかったのですが、息抜きに書いてみます。

ジブリ史上個人的No.1の本作は、森に住む神々と人間の争いを描いた室町時代の物語。
この作品を劇場で観て初めに気づかされたのは、大轟音よりも、静寂にこそ厳格な力と張り詰める緊張の糸が宿るのだということ。時折訪れるハッとするほどの静寂は、息を飲むことも憚られるほどに威圧的で、この作品の神秘とはそこから生まれるのではないかと感じました。

また、大好きな『アシタカせっ記』を劇場の迫力で聴いて、思わず涙が出てしまいました。
なぜ久石譲さんはこんなにも素晴らしい音楽を作り出せるのだろう、と何度考えたことか。聴くだけで『もののけ姫』の全てを思い出せる。アシタカの一生に想いを馳せられる。こんなに素晴らしいものを「音楽」という括りで収めておくには勿体ないとさえ感じてしまうほどに、圧巻です。村の掟で、一度村を出たら戻ることは叶わない「帰れない旅」に出たアシタカの凛々しく美しい姿が、この曲を思い出すだけで浮かんできます。
作画に関しても、きっと私は一生この映画に憧れ続けるのでしょう…深く暗い森と、神の神々しさ、人間たちの住む村、夜の月の美しさ…一切ブレることなく最初から最後まで美しいこの作品に、何度泣かされたことか……語ろうとすれば涙が出るほどに、この作品の全てが好きです。

また、『もののけ姫』魅力といえば、やはりキャラクターですよね。真っ直ぐで正に"正義"という言葉が似合うアシタカ彦、人ともののけの間で揺れ動く、勇ましく美しいヒロイン・サン。個人的に好きなキャラクターであるエボシ御前は、森からしたら悪であるのに、タタラ場の人達からは敬愛されていて、平等で優しく、自分たちを自分たちの力で守る強さと知恵を持った芯のある美しい人。『もののけ姫』というタイトルではあるものの、この作品のテーマの一つである"共存と環境破壊"の象徴は、サンよりもエボシ様なのだと思っています。
まぁ個人的ダントツNo.1はヤックルですけどもね…!ヤックルは架空の生物なのでこの世界で触れ合うことができなくて非常に残念です…あの健気な姿に心打たれない人はいないのでは…?めちゃくちゃかわいい…

この作品には、たくさんの強さが宿っています。
誰かを守ろうとする強さ、自分の信念を貫く強さ、自分の"家"を守ろうとする強さ、大切なものを守り抜く強さ…
この物語の世界では、みんなが闘っていて、誰一人だって諦めない。真っ直ぐ前を向いて、なにが起ころうとひたすらに生きようとする彼らの姿は、観るたびに勇気を貰えます。
「大丈夫、わたしたちが生きているのだから」
そう言ったアシタカの言葉は、この作品のもう一つの主題、"生きぬくこと"が集約されたとても重みのあるもののように感じました。

今思えば、この作品は"環境破壊や共存"というよりも、"生きる"ことが大きなテーマのような気がします。最初にアシタカが村を出る理由もそうでした。死を待つのではなく、生きるために家を捨て、旅に出るのですから。
シシガミも"生と死"・"再生と破壊"を司り、心に残る場面にはいつもアシタカの「生きろ」という台詞や想いが込められているような気がします。
「共に生きていこう」
そう言われている気が、いつまでもしています。


あと、これはもののけ姫好きとして一個釈明しておきたいのですが…
アシタカが玉の小刀を渡すシーン……!!
「なにが「私もだ。いつもカヤを想おう」だよ!」
と思ってるそこの方!私も最初「お前まじかよ」とは思いました。思いましたよ。監督も「男なんてそんなもん」と言ったそうです。が、オタクなのでオタクなりに美化させてほしいんです。
まず、アシタカがサンに小刀をあげたことによって、乙事主さまから救出できたのは周知の事実だと思います。
玉の小刀というのは、蝦夷の村にとっては自分の命を捧げるという意味を持つ大切なものだそうで、まさにあの小刀にはカヤの心が宿ってるんですよ。もう会うことが一生叶わない夫なら、その幸せを願うのみです。ではアシタカの幸せとは?そうです、サンと共に生きる道です。
つまり、きっとあのシーンでは、カヤがサンを救ってくれたのです。
そう思えたら、素敵な物語だと思いませんか…?夢見すぎ野郎ですけど、私は一生この解釈で生きていきます。


正直、最初から最後まで余すことなく脳内再生余裕なレベルで好きなので、1分1秒逃さず感想を書いていきたいところではあるのですが、あまりにそれはうざすぎるので、この辺にしておきます…
(もしかしたら追記するかも)

この作品を世に送り出してくれたスタジオジブリ、宮崎駿監督に敬意を込めて…
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